「先生が忙しすぎる」をあきらめない(――半径3mからの本気の学校改善)

¥ 2,200 税込

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[本書の概要]

◎内田良氏(名古屋大学大学院准教授)推薦!!
「リアル職員室の実態から業務改善の知と技まで、学校マネジメントのプロが教える『教員の働き方改革』必須の書!」
★日本の教員の長時間労働、いわゆる“ブラック”な職場環境が大きな社会問題となっています。本書では、学校の多忙の実態を豊富な調査データをもとに分析するとともに、深刻化する学校の「多忙」の状況を改善していくために具体的に何ができるか、学校現場のよさと弱みを熟知する専門家の視点から、徹底解説します!
★2018年度管理職選考でも、「学校の業務改善」「働き方改革」は頻出! 論文・面接でも問われる学校現場における具体策が満載です!


[著者] 妹尾昌俊 
[刊行日] 2017-08-31 [形態] 書籍
[定価] 2200 円(税込)  [判型] A5判 [頁数] 200頁
[ISBN] 978-4-87380-489-7


[本書の目次]

はじめに――今日も頑張っている先生方へ

第1章 だれが、どのくらい忙しいのか


◆日本の学校の長時間過密労働の現実
ぐずって泣く自分の子どもを抱き締める力もない/日本の先生の労働時間は世界一/学力先進国と比べて、月60~80時間長く働いている/小学校教員の約6割、中学校教員の8割近くが過労死ライン/他業種と比べても、学校の過重労働の異常さは突出/小・中学校の副校長・教頭の6割は過労死ライン/学校の多忙は期間限定ではない、ほぼ通年/1日10分も休憩をとれない“長時間過密労働”/労基法違反が学校の“常識”!?/勤務時間外労働、休憩時間ナシを当然視している学校と教育行政/若手ほど過重労働だが、平均的な50代も過労死ライン/ほかの調査でも、“ブラックな学校”は明らか――小・中学校教員の65~75%、高校教員の約半数は月100時間以上残業/平均だけ見ていても危ない――月200時間残業もいる
◆“ブラック”の内訳――先生たちは、いったい、何に忙しいのか
相当の時間をかけているのは、授業準備、給食・清掃、部活動、成績処理、学校行事等/部活の時間が授業準備に匹敵するほど長い人も/長時間労働の教師は授業準備や自己研鑽にも熱心
◆多忙感の現状――忙しすぎることに教師たちはどう感じているのか
9割近くが仕事に追われ生活にゆとりがない/突発的な仕事や意味を感じない業務には多忙と感じやすい

第2章 忙しいのは、なにが問題か


◆長時間労働の弊害――“熱心にやっているんだから、いい”では済まない
多忙化の重大な影響、4点/授業準備や自己研鑽へ影響/先生の読書量は1日30分あるかないか/子どもにとってよかれと思ってきたことが結果的には反対に/学校は組織あるいはチームとして学習しているか/半数近くがとても疲れている職場/6割の教師がバーンアウトの危険
◆死と隣り合わせの職場
生徒にとても慕われていた熱血教師が過労死/新採後半年で自殺“こんな気分になるために一生懸命教師を目指したんじゃない”/自殺という悲しいことを繰り返さないために/自殺で亡くなる先生があとを絶たない/相次ぐ、ベテラン教師等の過労死/繰り返されてきた悲しみから、わたしたちが学ぶべきこと/仕事への満足度に応じて必要な二面作戦のケア/前向きに仕事している人にも注意を、歯止めがききにくいのだから/やりたくないという人は声を出しづらく、聞いてもらいにくい
◆先生が忙しすぎる現状は、未来の損失
日本社会の最重要課題のひとつ、生産性の観点からも悪影響/教師が不人気職になり、質も低下/深刻な人手不足に陥る日本、教員のなり手も近い将来いなくなる!?

第3章 なぜ忙しいのか、なぜいつまでも改善しないのか


◆多忙化を加速させた直近10年あまりの変化
障がいのある子や日本語が不自由な子が増加/ “福祉機関化”する学校/学校にも非正規雇用が増加/少子化なのに、学校の忙しさは、なぜ改善しないのか?/長時間過密労働が改善しない6つの理由
(1) 前からやっていることだから(伝統、前例の重み)
ビルド&ビルドな学校/なぜ、学校では伝統・前例を重んじるのか?――学校は取捨選択する基準をもちにくい/前例踏襲のほうが安全だから
(2) 保護者の期待や生徒確保があるから(保護者と生徒獲得のプレッシャー)
保護者対応にそれほど時間はかかっていないが/プロセスと結果を検証することのない根性論で走っていないか?
(3) 子どもたちのためになるから(学校にあふれる善意)
学校は教師の献身性に支えられている/時給数百円でも、子どものためになるからやる/採点や添削、成績処理に多大な時間/なんのために作っているのか、わからない指導要録/どこまでも拡張する、“子どものためになるから”/ “子どものためになるから”が膨張する理由1:教師のモチベーションの源泉/理由2:子どものために頑張る人が認められる職員室の価値観/理由3:「わたしがやらねば」という責任感(ともすれば自惚れ)/理由4:よかれと思っていることは見直しにくい
(4) 教職員はみんな(長時間一生懸命)やっているから(グループシンキング、集団思考)
同調圧力が強い/民主主義を育てる学校が全体主義的に
(5) できる人は限られるから(人材育成の負のスパイラル)
人を育てる時間がなく、できる人に仕事が増えて、さらに苦しい職場に (6) 結局、わたし(個々の教職員)が頑張ればよいから(個業化を背景とする学習の狭さ)
卒業式マジック? 年度や異動を期にリセット/任せられない/教師はヘルプサインを出しづらい職業

第4章 本気の学校改善――あきらめる前にできる、半径3mからの実践


【基本方針1】現実を見よ。本当にこのままでいいのかという対話を
忙しすぎる学校をあきらめかけているあなたへ/そもそも法律上は残業ナシが原則/校長は人がいいだけではダメ、労務管理の現場責任者/まずは勤務実態の見える化、把握から
具体策1-1 タイムカード・ICカード等の客観的な記録を基礎に実態把握を/教員は、自分のためにも時間把握をしよう
具体策1-2 実態把握と教職員へのケアは、管理職任せにせず、養護教諭や事務職員らの情報と力を
具体策1-3 長時間労働の弊害について、教職員は気づき、振り返る場を
【基本方針2】子どものためとばかり言うな――重点課題とビジョンをもとに、仕事をやめる、減らす、統合する
6つの“神話”を疑ってかかろう/“子どものため”とばかり言うな!
具体策2-1 目標の重点化の前に課題の重点化を。重要課題トップ3について教職員等の知恵を出す/狭い業務改善だけでは解決しない、課題とビジョンの重点化こそ王道
具体策2-2 業務や行事を棚卸ししたうえで、「時間対効果は高いか」、「より優先度の高い課題やビジョンに対応したものか」の視点から、優先順位と劣後順位を検討/教員にはない目線から見直す
具体策2-3 部活動は重点課題とビジョンに照らすと、やり過ぎではないか再検討を/部活動は子どもの多様な経験の時間を与えるという意味では諸刃の剣/
具体策2-4 提出物等の丁寧なチェックも少しラクにしてみる
【基本方針3】教員でなくてもできることは手離れさせるとともに、チームで対応できるようにする
抵抗があるかもしれないけれど、その仕事はあなたでなくてもできる
具体策3-1 教師業務アシスタントと職員室のコーディネーターを配置し、教員がやらなくてもよい仕事は分業を進める/教員がお金を扱う仕事を大幅に減らす
具体策3-2 役割分担の見直しにとどめず、業務プロセス自体の見直しをかける/日常的な不満と疑問が改善のヒント
具体策3-3 なんでも自前はやめ、過去や全国の実践等からまねて学ぶ
具体策3-4 仕事を任せきりにせず、進捗を確認し、悩みを打ち明けられる場をつくる
【基本方針4】伝統・前例だからと思考停止せず、今日的な有効性を問い直そう
具体策4-1 その活動、行事はなんのためを問い直す(そもそも論を大切に)
具体策4-2 学力テスト、授業研究・研究指定などが形骸化していないか、時間対効果や課題・ビジョンとの関係から見直す
【基本方針5】管理職は“いい人”というだけではダメ。キビシイことも言い、立て直す支援を
具体策5-1 事務職員やアシスタントとの分業を進め、副校長・教頭は人材育成に時間を
具体策5-2 「みんな忙しい」とはいえ差もある。仕事量の少ない人を立て直すべく、管理職はフィードバックを
具体策5-3 子どもたちの自己肯定感や自分への信頼を高めて、深刻な問題をなるべく未然に防ぐ
【基本方針6】学校のサポーター・応援団を増やそう
具体策6-1 PTAや学校支援活動の充実を図り、学校への信頼を高める
具体策6-2 クレーマーには、正論よりも、“あなたのことを大切に思っている”とのメッセージを
具体策6-3 コミュニティ・スクールを通じて、地域の応援団を増やす
【基本方針7】働きやすい職場をつくり、学び続ける教職員チームになろう
具体策7-1 長く働き一生懸命なのが美徳をやめる、評価軸を変える
具体策7-2 働きやすい職場をめざして、身近なところから工夫していく/新しい時代を切り開く力をつけるためにも、先生は自分のことも大切にしよう
具体策7-3 たまには一人称で考える時間を――アンパンマンとドキンちゃん
学校改善とイノベーションのヒントは、あなたの半径3メートル内にある/「先生が忙しすぎる」をどうするか?

おわりに――今日も、これからも頑張る先生方へ