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春を伝える百人一首


 皆さんは、百人一首を知っていますか。お正月に家や児童館で挑戦してみた人もいるでしょう。百人一首には、奈良時代から鎌倉時代初期までに詠まれた百首の和歌が集められています。
 和歌は、作者の気持ちを三十一文字の言葉に込めたものです。昔の人々も現代に生きる私たちと変わらず、生きていること、老いることに悩み、人を恋し、四季折々の自然に心を動かされていたことがわかります。

 百人一首は、恋を詠んだ歌が四十三首と一番多く、季節の歌が三十二首、旅の様子や宮中の様子を詠んだ歌が二十五首あります※。当時は、今と季節の分け方が違っていました。地球が太陽の周りを一回りするのを1年として計算する太陽暦ではなく、月が地球の周りを一回りする太陰暦を用いていたからです。
 太陰暦だと暦と季節の間にだんだんズレが生まれてくるので2~3年に一度、十三ヶ月ある年をつくり、季節と暦を合わせていたそうです。そのため、百人一首の世界では、2月は如月という月で春になります。今だと2月はまだ寒いのであまりピンと来ないかもしれませんね。

 春を詠んだ有名な歌を2つ紹介します。
 1つ目は「君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ」(光孝天皇)という歌です。春になると芽吹く野草のうち、食用や薬用のものを「若菜」と呼びました。新春に若菜を食べると病気や災いを払い、その年を元気に過ごせると考えられていました。親しい人の健康を願って若菜を摘んでいる作者の気持ちがわかります。みなさんも新春に春の七草を使った「七草がゆ」を食べたのではないでしょうか。
 2つ目は、「久方の 光のどけき 春の日に しづごころなく 花の散るらむ」(紀貫之)という歌です。のどかでうららかな春の日差しを受けながら、風に吹かれて散っていく桜の様子に美しさ、はかなさ、寂しさを見出しています。今の私たちでも桜の花が散る様子を見ていると、きれいではあるけれども、もの悲しさも感じますね。

 百人一首を詠むと当時の人々の気持ちがわかるだけでなく、日本語の音の響きの美しさも学ぶことができます。ぜひ挑戦してみてください。



※編集部注:百人一首の分類には諸説あります



(吉藤 玲子)

 

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